再生医学の進歩と日本における実績から、適任の研究者と牽引的なモデュレーターを選び国として十分支援すれば、10年後(角膜に関しては4〜5年後)に失明者半減技術は90%の可能性で日本で確立すると思われる。そして諸外国に先駆けて、日本における本再生医療のための十分な材料を生産するシステムを作り、本再生医療が行なえるクリニックを同時に用意し、保険点数なども決める。ネガティブ志向のブレーキがかからず、それらの技術や施設が予定どおり整備されれば、その後1,2年間で、すなわち合計で11〜12年後は日本における失明患者が実際に半減することは十分可能で、諸外国からも多勢の失明者が治療を受けるために来日するであろう。それは同時に最大の国際貢献を日本が行うことになる。


●これは2001年4月頃書かれたものであるが、その後も進展が見られているので、いずれ紹介する。

-サイドメモ-

失明者: 今回のプロジェクトは生まれた時から眼が見えない人にはすぐには応用できず、途中から眼が見えなくなった人が対象。

再生医学
(人での):
主として人の細胞から出発して、失われた人の組織や臓器を体外又は体内で作る学問。それを用いる治療を再生医療という。

幹細胞: 木の幹のようなもので、いろいろな機能を持つ細胞に分裂する(これを分化という)。最も注目されている幹細胞はES細胞という細胞で、体の全ての細胞・臓器に分化しうる。

前眼部、後眼部: 光が網膜に達するまでに通過する眼の組織を順に述べると、角膜、水晶体、硝子体、網膜、脈絡膜などである。角膜、水晶体などを前眼部といい、網膜、脈絡膜などを後眼部という。

角膜幹細胞: 角膜は三層の膜(上皮、実質、内皮)からできている。この三層の組織を作るもとの細胞として、それぞれの角膜幹細胞があるとされる。

視細胞: 初めに光をキャッチする網膜の細胞。この情報が網膜神経節細胞、さらに脳へと伝わる。

生着: 細胞が生きたまま目的とする場所に組み込まれること。

免疫拒絶: 動物など異種のもの、また人でも他人の組織や臓器を移植すると免疫反応のために拒絶され、生着しない。このことをいう。

理研: 旧科学技術庁(現文部科学省)の代表的な研究機関(特殊法人)。

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